トップページ博士号取得者一覧廣田 直子

[生活科学研究科] 博士号取得者の紹介

■05 廣田 直子(ヒロタ ナオコ)
・Effects of Light and Postprandial Posture on Digestion and Absorption of Dietary Carbohydrates in Humans
(人における食事性糖質の消化・吸収に及ぼす光と姿勢の影響)
学位名: 博 士(学術) 論文審査委員: 主査 教授 曽根 良昭
副査 教授 小西 洋太郎
副査 教授 由田 克士
取得年月日: 平成23年 3月24日

 
・論文審査の結果の要旨
 本論文が主題とする糖質(炭水化物、carbohydrates)は地域や時代によらず、すべての人々にとって、生命を維持するためのエネルギー源として重要な栄養素の一つである。本論文は人が食事から摂取する糖質(食事性糖質)について、糖質エネルギー比率が栄養素等摂取状況に与える影響についての調査研究の結果ならびに食事性糖質の消化・吸収に影響する要因として食事後の姿勢と光環境に焦点をあてた実験研究の結果を記述している。
 第1章では、本論文に関係する文献調査を行って、関連研究のこれまでの成果を明らかにするとともに、本論文の研究目的ならびに研究方法について的確に記述している。
 第2章では、栄養素等摂取量間の相関分析と、糖質エネルギー比率別の群間比較を行った結果、糖質エネルギー比率が50%未満群や60%以上群では栄養素摂取に関していくつかの問題点があることを明らかにし、中・高齢者の食事における糖質エネルギー比率として、50%以上60%未満が望ましいという結論を得ている。このことは健康を支える食生活の一つの指標を示した点で評価される。
 第3章、第4章では、食後の姿勢が人の消化管での糖質の消化・吸収に及ぼす影響を椅座位と仰臥位で比較・検討した結果を記述している。ここでは通常の食事や牛乳を椅座位で摂取した後仰臥位に変えた場合、椅座位を保った場合に較べて小腸で消化・吸収されずに大腸に達する未消化糖質の量が有意に少ないという結果を得ている。このことは、食事の摂取量が制限される場合、椅座位で食事を摂取し、その後仰臥位に変えることにより糖質からのエネルギー摂取効率を良好にできることを示すもので臨床栄養学に一つの知見を加えたことで評価される。
 第5章、第6章では、夕食摂取後の夜の光照度が夕食に含まれる糖質及び翌朝の朝食に含まれる糖質の消化・吸収に及ぼす影響について検討した結果を記述している。ここでは夕食後高照度下で過ごした場合、低照度で過ごした場合に較べて小腸で消化・吸収されずに大腸に達する未消化糖質の量が有意に多いこと、また夜間の光照度の高低は翌朝の朝食に含まれる糖質の消化・吸収には影響しないことを明らかにしている。この結果は光曝露が曝露を受ける時間により異なった影響をヒトの消化管活動に与えることを明らかにした点で高く評価される。
 第7章では第2章から第6章までの結果と本論文の先行研究の結果を総合的に検討して、望ましい食生活のあり方について具体的に提言している。
 本論文は人における食事性糖質の適正摂取量、食事性糖質の消化・吸収に及ぼす光と食後の姿勢の影響について健康生活に資する有益な研究結果を記述し、またその結果を基に望ましい食生活に対する具体的提言を行っており生活科学・長寿社会食生活学分野での優れた成果をあげていると全編を通して評価できる。以上のことから審査委員会は本論文が博士(学術)の授与に値するものと認めた。


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