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[生活科学研究科] 博士号取得者の紹介

■04 笠原 幸子(カサハラ サチコ)
・ケアワーカーが行うアセスメントの特徴に関する研究
 −要介護高齢者をホリスティックに理解することに焦点をあてて−
 Study on Characteristics of Assessment by Care Workers
 :Holistic Approach for Frail Elderly
学位名: 博 士( 学 術 ) 論文審査委員: 主査 教授 白澤 政和
副査 教授 要田 洋江
副査 教授 山縣 文治
取得年月日: 平成21年 9月 30日

 
・論文審査の結果の要旨
 本論文は、ケアワーカーがどのような視点でアセスメントを行うかに関する研究であり、具体的には、ケアワーカーが行うアセスメントの構造やその関連要因を探索的に研究し、要介護高齢者をホリステック(holistic)に捉えて支援していることの必要性を示すことにある。文献研究を基に、ホリスティック概念を整理し、ケアワーカーが行うアセスメントを、要介護高齢者と協同して、ホリスティックな視点である要介護高齢者の身体機能状況、精神心理状況、社会環境状況についての情報を把握し、それらを分析し、情報を再構成して、特定の問題状況を編成し、生活上の課題を明確化し、望ましい目標の設定、援助計画の作成であり、そこから援助実践を導き出していくことであると整理している。

 本研究は、全国の介護老人福祉施設600ヵ所を無作為抽出し、1ヵ所につき1名の介護福祉士を調査対象とし、自記式質問紙を用いた横断的郵送調査結果に基づくものである。まずは、高齢者の「身体機能状況」項目、「精神心理状況」項目、「社会環境状況」項目それぞれに着目し、ケアワーカーが行うアセスメントの構造とその関連要因を検討しているが、高齢者の「身体機能状況」「精神心理状況」「社会環境状況」の3側面全ての分析結果において、「援助関係の形成」と「ホリスティック視点」がケアワーカーの行うアセスメントを向上させる主要因であることを明らかにした。

 さらに、高齢者の生活全体に着目し、どのような視点で高齢者を捉えているのかを明らかにするため、「身体機能状況」、「精神心理状況」、「社会環境状況」の全項目を投入し、ケアワーカーが行うアセスメントの構造とその関連要因を検討している。その結果、高齢者の生活全体を統合したアセスメントの構造は7因子からなり、それぞれに因子は「身体機能状況」「精神心理状況」「社会環境状況」項目でもって構成されており、ケアワーカーは要介護高齢者の「身体機能状況」、「精神心理状況」、「社会環境状況」を合わせた、生活全体を総合したホリスティックな視点で捉えて、アセスメントを行っていることを明らかにした。

 さらに、8名の介護老人福祉施設ケアワーカーのアセスメント状況について、インタビュー調査での質的分析を行っている。その結果、「総合的な高齢者理解」「再評価的態度」「能動的・肯定的態度」の3カテゴリーを抽出しており、この「総合的な高齢者理解」は、ケアワーカーが要介護高齢者を「身体機能状況」、「精神心理状況」、「社会環境状況」の項目を含めてホリスティックに理解しようとしていることを示した。

 以上、ケアワーカーが行うアセスメントにおいては、要介護高齢者の生活全体を捉えるホリスティックな視点が存在することを探索的に実証していることから、審査委員会は、本論文が博士(学術)の学位を授与するに値するものと認めた。


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