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[生活科学研究科] 博士号取得者の紹介

■02 太田 啓子(オオタ ケイコ)
・「軽度」身体障害者の生活障害にみる障害観の変容に関する研究
 −資格取得者を中心とした肢体不自由者へのライフストーリー・インタビューを通して−
学位名: 博 士( 学 術 ) 論文審査委員: 主査 教授 堀 智晴
副査 教授 白澤 政和
副査 教授 畠中 宗一
取得年月日: 平成21年 9月 30日

 
・論文審査の結果の要旨
 これまで「軽度」身体障害者の多くは、「社会参加」をするうえで特段のサポートを要しない人たちとして問題の俎上に取り上げられることは少なかった。また「軽度」身体障害者に関する先行研究は、他者との関係性における葛藤に関するものであった。「軽度」身体障害者は、日常的には困難な場面を自分なりの工夫で乗り越えており、健常者が圧倒的に多いこの社会の中で困難な場面に対処する過程には「軽度」身体障害者としての特性があると考えられる。

 このような「軽度」身体障害者に対する支援のあり方について考えるために、本論文は、「軽度」身体障害者の生活障害における障害観から、「軽度」身体障害者の社会参加における特性を明らかにした質的研究である。「軽度」身体障害者の障害観変容のライフサイクルと「軽度」身体障害者の困難な場面への対処のプロセスを明らかにし、さらに世代によって時代背景から受けた影響の差異について考察を行っている。

 本論文では、生活障害を、他者との関係性における困難、物理的障壁に対する困難、「加齢」に伴う身体状況の変化の3点において捉え、「軽度」身体障害者に関する研究が他者との関係性に焦点をおいた研究が中心であったのに対して研究を一歩進展させたと評価できる。

 本論文は、対象事例が10名と限られ、研究結果を普遍化するには不十分であるが、「軽度」身体障害者を対象としてライフストーリーを聞き取る質的研究を行い、「軽度」身体障害者の社会参加の特性を明らかにした点は高く評価できる。本研究における解釈をさらに吟味し考察を深め発展させる必要があるが、「軽度」身体障害者のライフストーリーに対する解釈モデルを提起しているという点で高く評価できる。今後のこの種の研究の重要な先行論文として位置づけられると考えられる。
 以上の審査結果から、本論文は、博士(学術)の学位を授与するに値するものと認められる。


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