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[生活科学研究科] 博士号取得者の紹介

■06 菊池 卓郎(キクチ タクロウ)
・天空分布と相互反射を考慮した居住空間の光環境と温熱環境の統合的な解析評価手法に関する研究
学位名: 博 士( 学 術 ) 論文審査委員: 主査 教授 井川 憲男
副査 教授 永村 一雄
副査 教授 多治見 左近
副査 教授 鈴木 広隆
取得年月日: 平成21年 3月 24日

 
・論文審査の結果の要旨
 居住空間の省エネルギーは現在の最も重要な課題である。採光と日射遮蔽はいずれも環境負荷低減に寄与する空間設計要素であるが、両者の機能は相反する要素でもある。現状では光環境と温熱環境のシミュレーション技術はそれぞれの分野で個別に高度化されている状況にあり、採光による光環境と日射による温熱環境は統合的に評価されることが必要である。

 本研究では、採光による光環境と日射による温熱環境を統合的に解析する手法を構築することを目的とし、精度の良い相互反射計算が可能な解析プログラムRADIANCEと再現性の高い昼光と日射の天空分布モデルAll Sky Modelを組み合わせるプログラムを開発している。開発プログラムによる計算値は模型実験による実測値と比較され、その高い計算精度を確認している。さらに、相互反射計算が可能な解析プログラムと日射の天空分布モデルから予測される日射受照分布をCFD解析の発熱境界条件へ変換するプログラムを開発している。加えて、日射受照分布をCFD解析の発熱境界条件へ変換することで日射受照分布を考慮した温熱環境解析を行う手法を提案している。すなわち、All Sky Modelを光源条件としてRADIANCEで解析した日射受照分布を用いて、温熱環境解析を行うプログラムを開発している。次に、天空放射輝度分布モデルを用いた天空日射や相互反射を考慮したCFD解析を実現するために、日射受照分布を用いて発熱条件を生成するプログラムを開発している。これらにより、従来から相互反射と天空の輝度分布を考慮して照度、輝度分布を予測評価してきた光環境と同様に、温熱環境においても相互反射と分布を考慮した評価を行う手法が確立された。

 以上、採光による光環境と日射負荷を同一の手法で予測可能なプログラムを開発すると共に、日射の受照分布を考慮した温熱環境予測を可能とするプログラムを開発することで、照明と空調の双方の省エネルギー性を考慮した設計検討を支援し、またより高度な温熱環境予測を実現できることを示している。

 本研究により、採光による光環境予測のために外界条件を高精度化するとともに、相互反射と天空の輝度分布を考慮して居住空間の照度や輝度分布を予測評価してきた光環境と同様に、温熱環境においても相互反射と天空放射輝度分布を考慮して日射受照分布を予測し、さらに、それらをCFD解析に展開させることにより、高度な温熱環境の評価を行う手法を確立している。

 よって、本論文は博士(学術)の学位を授与するに値するものと認めた。


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