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[生活科学研究科] 博士号取得者の紹介

■05 Robert YAWADIO NSIMBA(ロベルト ヤワディオ ンシンバ)
・Screening and Evaluation of Antioxidative Compounds from Chenopodium quinoa Willd. and Amaranthus spp. and Their Collagenase Inhibitory Effectiveness(キノアおよびアマランサス種子からの抗酸化物質の検索と評価およびコラゲナーゼ阻害効果)
学位名: 博 士( 学 術 ) 論文審査委員: 主査 教授 小西 洋太郎
副査 教授 西川 禎一
副査 教授 曽根 良昭
副査 准教授 菊崎 泰枝
取得年月日: 平成21年 3月 24日

 
・論文審査の結果の要旨
 酸化ストレスは老化を進めるファクターであり、アテローム性動脈硬化、冠状動脈疾患、がん、皮膚傷害の主なリスクファクターでもある。酸化ストレスは細胞内の活性酸素種(ROS)濃度と生体が有する酸化防御キャパシティのバランスで決まり、前者が勝ると多くの生体分子に損傷を与えることになる。哺乳動物においては、ROS代謝酵素群、抗酸化活性を有するタンパク質、低分子抗酸化物質などから構成される酸化防御システムを有している。しかし加齢によって酸化防御システム機能が低下すると、ROSによる酸化反応が進み、種々の疾病を引き起こす。それらを防止する一策として、食品からの日常的な抗酸化物質の供給が重視されている。

 本論文の新規性として、これまであまり利用されてこなかった食材に新たな機能性をみいだした点があげられる。すなわち、アマランサスやキノア種子のエタノール抽出物について、原理の異なる3種の抗酸化活性測定法(FRAP法、β-Carotene Bleaching法、DPPHフリーラジカル捕捉活性法)でスクリーニングした結果、これらの雑穀に強い抗酸化活性が認められ、抗酸化ストレス食材としての有効性を提唱した。さらにこの実験で得られた重要なことは、用いる測定方法によって抗酸化活性の強さが異なることであり、植物試料の抗酸化能を評価する際の留意点としてとりあげている。

 本論文ではさらに、キノア種子から新規化合物をふくむ8種類のecdysteroidを精製・単離し、種々の機器分析により化学構造を決定している。In vitro実験において、それらのecdysteroidは、皮膚の老化や紫外線による皮膚損傷に関与するコラゲナーゼ酵素活性を濃度依存的に阻害することを示した。同時に鉄イオンキレート(捕捉)活性を濃度依存的に阻害することを認めた。しかし、ecdysteroid自身はコラーゲンを分解しないことを確認している。

 これらの結果は、いくつかの課題を残しつつも、キノア種子由来のecdysteroidが種々の疾病のリスクとなる酸化ストレスの防止、皮膚損傷の修復や皮膚老化の防止に有効であることの可能性を指摘しており、今後の展開が期待され高く評価できる。

 以上の審査結果により、本論文を博士(学術)の学位を授与するに値するものと認めた。


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