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[生活科学研究科] 博士号取得者の紹介

■03 青山 佐喜子(アオヤマ サキコ)
・ネギ属野菜類の抗酸化活性と血圧上昇抑制効果に関する研究
学位名: 博 士( 学 術 ) 論文審査委員: 主査 教授 山本 由喜子
副査 教授 湯浅 勲
副査 教授 小西 洋太郎
取得年月日: 平成21年 3月 24日

 
・論文審査の結果の要旨
 酸化ストレスは、癌、糖尿病、心疾患、動脈硬化症などの発症や老化の進行に関与すると考えられ、その抑制に有効な食品や食品成分の研究が進められている。しかしネギ(Allium)属野菜類の抗酸化活性については、これまで必ずしも研究が進展していない。また、抗酸化活性の評価には試験管内、細胞、臓器、個体など異なるレベルでの評価があり、そのうち個体レベルでの評価は生体内での効果を知るうえで重要であるが、研究結果の蓄積は充分ではない。このような背景のもとで本研究では、ネギ属野菜類、特にネギ類の試験管内および個体レベルでの抗酸化活性を検討し、さらに抗酸化活性と関連する生理効果のひとつとして血圧上昇抑制効果を調べている。

 第1章では、3種類のネギ類について、試験管内での抗酸化活性、抗酸化成分フラボノイド類の含有量を調べている。これらの結果は、ネギ類の抗酸化活性とフラボノイド供給源としての実用に際して有益な知見である。第2章では、抗酸化活性に対する加熱調理の影響を調べて、青ネギでは、加熱により活性がむしろ上昇することを示した。その機構の検討から、加熱による高分子抗酸化成分生成の可能性を示し、調理・加工への有効性を示唆した。第3章では、酸化亢進ラットを用いて個体レベルでのネギ類の抗酸化活性を調べている。第1節では、青ネギに白ネギよりも強い生体内抗酸化効果、血圧上昇抑制効果を見出し、血圧上昇抑制効果メカニズムとして一酸化窒素利用性改善の関与を示唆した。これらの結果は、青ネギの健康増進への有効性を示し、食と健康に関する有益な知見である。第2節では、伝統野菜赤ネギの生体内抗酸化活性は白ネギよりやや弱いことを示した。これは、赤ネギの強い試験管内抗酸化活性の結果と一致せず、活性評価の方法により結果が必ずしも一致しないことを示した。赤ネギの血圧上昇抑制メカニズムとしては、脂肪組織でのアンジオテンシンU生成抑制の関与が示唆された。

 以上のように本論文では、ネギ属野菜類、特にネギ類の抗酸化活性、血圧上昇抑制効果ならびにフラボノイド供給源としての意義を明らかにして、健康への有効性を示唆する結果を得た。また、ヒトの健康への応用を考えるためには、試験管内、個体レベルなど多様な方法での研究が必要であることを示唆した。さらに、血圧調節の機構はいまだ十分解明されていないが、抗酸化活性や脂質蓄積抑制との関連を示唆する結果を得て、血圧調節機構解明への有益な成果を示した。以上のように、本論文で得られた成果は、食生活と健康に関する有益な知見であり、よって、審査委員会は本論文を博士(学術)の学位を授与するに値するものと認めた。


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