トップページ博士号取得者一覧> 加藤 悠介

[生活科学研究科] 博士号取得者の紹介

■09 加藤 悠介(カトウ ユウスケ)
・高齢者施設における居場所づくりに関する環境行動学的研究
学位名: 博 士( 学 術 ) 論文審査委員: 主査 教授 森 一彦
副査 教授 宮野 道雄
副査 教授 白澤 政和
取得年月日: 平成20年3月24日

 
・論文審査の結果の要旨
 本研究は、家庭的な生活の質を維持するための環境改善が求められる高齢者施設における実践的研究である。特に高齢者施設における居場所づくりに関するアクションリサーチとして、高齢者施設における環境改善を現場のスタッフと共に実践しながら高齢者の場所移動や会話などの環境行動観察調査を実施し、その調査結果から指針抽出を行ったものである。具体的には、高齢者施設の共用空間において、しつらえ変更による居場所づくりを行うことが、寄り道による自己選択や、会話による人とのふれあいを促進し、生活の質が向上することを実証した。とりわけ、認知症高齢者には、認知能力の低下や環境移行に配慮した視覚的にわかりやすい場所配置が必要であり、ソファのようなひとりでもいられる小さな場所をトイレや自室へ行く生活動線の近くにつくることや、小グループで集まれる馴染みのある場所をつくることが重要であることを明らかにした。

 本研究において、高齢者施設において高齢者の生活の質の向上に居場所づくりが寄与することを明らかにしたこと、さらに高齢者の環境行動特性とそれに配慮した環境計画的指針を抽出したことは、高齢者施設計画上の重要な知見を明らかにしていると判定された。ただ、居場所づくりには物的な環境整備だけでなく、施設スタッフの関わりや生活リズムなどの人的・運営的工夫も含めた総合的な検討が必要で、それらの分析は今後の課題である。しかしながら、本研究では特養の約2年間にわたる介入研究や、環境行動観察による全高齢者の個別診断、家具が操作できる縮尺1/30の模型による施設スタッフとの計画立案など新しい研究手法の導入によって、いままで不可能であった認知症高齢者の個別的ニーズに配慮した居場所づくりの実践研究を可能としたことは高く評価された。

 審査委員会はこうした評価に基づき、本論文を博士(学術)の学位を授与するに値するものと認定した。


このページTOPへ

back number