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[生活科学研究科] 博士号取得者の紹介

■03 林 暁淵(イム ヒョヨン)
・大都市独居高齢者における子どもとのサポート授受パターンと生活満足度の関連に関する研究
学位名: 博 士( 学 術 ) 論文審査委員: 主査 教授 白澤 政和
副査 教授 畠中 宗一
副査 教授 山縣 文治
副査 教授 岡田 進一
取得年月日: 平成20年3月24日

 
・論文審査の結果の要旨
 本学位申請論文では、独居高齢者の子どもとのサポート授受関係と生活満足度に焦点をあて、それぞれの特徴と両者の関連を明らかにすることで、そこから独居高齢者の生活支援に関わる専門職が留意すべき実践課題について提案している。本論文の評価すべき6点を列挙する。

 (1)独居高齢者の日常生活の全般的な特徴を、国内外の先行研究をもとに文献レビューを行い、独居高齢者の全体像を、国内外の先行研究をもとに理論的整理を行った。

 (2)独居高齢者の日常生活満足度と全体的生活満足度との関連を明らかにしており、男性は女性より全体的生活満足度及び日常生活満足度(家事、食事、社会参加活動、人間関係、居住環境、清潔維持、経済)が有意に低いこと、また、全体的生活満足度に関連した男女の共通要因としては、「経済における満足度」「居住環境における満足度」が、相違要因としては、男性では「年齢」、女性では「食事における満足度」が有意な関連要因であることを明らかにし、独居高齢者の生活満足度を高めるべく支援においては性差の配慮が求められることを示唆した。

 (3)子どもの有無や子どもとの関係が独居高齢者の生活満足度について、子どもの有無や子どもとの関係が高齢期の生活満足感と密接に関連していることを明らかにした。以上の結果、独居高齢者の生活の質を高めるために、子どものいない独居高齢者にはその補完システムを地域社会で用意すること、子どものいる独居高齢者に対しては子どもとの情緒的連帯感を高められるような支援に配慮することを示唆した。

 (4)独居高齢者の子どもとのサポート授受パターンの特徴を明らかにしており、情緒的サポートでは、サポートの受領と提供が多く行われている「双方型」の割合が高く、手段的サポートでは、サポートの受領も提供もあまり行われていない「低交換型」の割合が高いことを明らかにした。さらに女性高齢者では「双方型」が、男性では「低交換型」が多く、また高齢になるにつれて「受領優位型」が多くなることが示された。

 (5)独居高齢者の生活満足度と子どもとのサポート授受パターンの関連について明らかにしており、女性では、暮らし向き、主観的健康度、子どもとのサポート授受パターンが生活満足感と有意に関連しており、子どもとのサポート授受パターンについては、「双方型」の場合に生活満足感が高いことを明らかにした。男性では、生活満足感は暮らし向きと関連していたが、子どもとのサポート授受パターンとは関連していなかった。以上の結果、老後を一人で暮らすためには安定した経済状況が保たれることが重要であること、女性の場合には、子どもとのサポート関係が弱かったり、老後になっても子どもに一方的にサポートを提供しなければならない場合には、高齢者の生活に否定的な影響を与えること、単純にサポートのバランスのとれた状態ではなく、双方の活発なサポートの授受といった親子間の積極的なかかわりが独居高齢者の生活に肯定的な影響を与えることを示唆した。

 (6)以上の結果をもとに、独居高齢者の在宅生活を支えるために求められる支援課題とその課題解決の方向性について、1)独居高齢者を支援するフォーマル・インフォーマルシステムを地域社会の中で整備すること、2)独居高齢者を取り巻く基本的な環境を整備すること、3)独居高齢者の子どもとの関係を配慮して具体的な支援を行うこと、4)独居高齢者の性差に配慮した支援を行うこと、5)男性の独居高齢者については、特に子どもとの関係維持に焦点を当てた支援を行うことの提案を行い、政策的・実践的な配慮をすることにより、大都市の独居高齢者は、より高い生活の質を維持しながら、生活できることを示した意義は大きい。

  よって、本学位申請論文は博士(学術)の学位に値するものと認めた。


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