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[生活科学研究科] 博士号取得者の紹介

■01 亀谷 小枝(カメタニ サエダ)
・Mechanism of the growth inhibitory effect of cape aloe extract in Ehrlich ascites tumor cells and search for the active constituents in the extract (ケープアロエのエールリッヒ腹水ガン細胞に対する増殖抑制効果のメカニズムとその活性成分の探索)
学位名: 博 士( 学 術 ) 論文審査委員: 主査 教授 湯浅 勲
副査 教授 小西 洋太郎
副査 教授 曽根 良昭
取得年月日: 平成19年12月27日

 
・論文審査の結果の要旨
 本研究は、古くから料理や食品の保存あるいは漢方薬などとして用いられているスパイスやハーブに着目し、それらの抽出物からガン予防物質の探索を行い、得られた抽出物を用いてガン細胞増殖抑制メカニズムの検討および活性成分の単離とその化学構造を検討したものである。

 第1章では、31種のスパイスとハーブを極性が異なる溶媒で抽出分配し、得られた各抽出物についてエールリッヒ腹水ガン細胞に対する細胞増殖抑制効果を測定し、一部のスパイスやハーブがガン細胞の増殖抑制効果を示すことを見出した。同時にDPPHラジカル補足活性により抗酸化活性を測定している。一般に抗酸化性と生理活性の間には強い相関があると考えられてきたが、そうではないとする報告もある。本研究の結果は、両者の間、すなわちガン細胞増殖抑制作用とラジカル補足活性の間には相関関係のないことを明らかにしている。このことは抗酸化性と生理活性の間にはあまり関係のないことを示めす重要な知見である。

 第2章では、強力なガン細胞の増殖抑制効果が認められたスパイスやハーブのうち、正常細胞として用いたマウス線維芽細胞の細胞生存率にはまったく影響をおよぼさず、ガン細胞のみに特異的にアポトーシス細胞死を起こさせるケープアロエの塩化メチレン抽出物に着目し、そのガン細胞増殖抑制作用メカニズムについて検討している。その結果、細胞周期のG1期(DNA合成準備期)からS期(DNA合成期)への進行を阻止することによってガン細胞の増殖を抑制することを示し、さらにそのメカニズムとして、細胞の増殖周期の進行を調節しているretinoblastoma (Rb) タンパクのリン酸化を抑制することを明らかにしている。

 第3章では、ケープアロエの塩化メチレン抽出物中に含まれる細胞増殖抑制作用を有する活性成分を得るためにカラムクロマトグラフィーを用いて精製を行い、12種の化合物を単離した。これらの化合物についてガン細胞抑制作用を調べたところ、化合物4-7および10が抑制効果を有することを明らかにした。一方、それぞれ単独では活性の認められなかった化合物1とクロモン骨格を有する化合物8、9あるいは10を共存させると、顕著な増殖抑制効果を示すことを見出している。天然物の機能を研究する際に精製・単離するにしたがって活性がなくなることが知られているが、本研究により得られた知見は、活性の低いものでも組み合わせることによって強い相乗効果が得られることを初めて示したものであり、この点も高く評価される。

 以上のことより、本研究は31種のスパイスやハーブを用いて探索した結果、ケープアロエに安全で効果的なガン予防物質が含まれることを明らかにした。このことは、ガン予防への利用の有効性を示唆したものであり、ヒトの健康維持への利用についての基礎的な知見である。また、本研究は天然物の機能性とその成分の化学構造について系統的に行った数少ない研究であり、この分野での今後の研究の指針となる研究であることも高く評価できる。
 よって、博士(学術)の学位を授与するに値するものと判断した。


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