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[生活科学研究科] 博士号取得者の紹介

■02 岡本 秀明(オカモト ヒデアキ)
・高齢者の社会活動に対するフェルト・ニーズ(felt needs)の充足状況
―社会活動への参加意向に着目して
学位名: 学術 論文審査委員: 主査 教授 白澤 政和
副査 教授 畠中 宗一
副査 教授 山縣 文治
取得年月日: 平成18年9月29日

 
・論文審査の結果の要旨
 本論文は、高齢者の社会活動に対する高齢者自身が体感しているフェルト・ニーズ(felt needs)充足状況に関する研究である。具体的には、社会活動への参加意向があり実際に活動している高齢者を「フェルト・ニーズ充足群」、参加意向がありながら活動していない者を「フェルト・ニーズ未充足群」と分類し、両者の乖離状況を実証的に明らかにすることで、「フェルト・ニーズ未充足群」高齢者の社会活動への参加機会を高めていくことを意図するものである。高齢者の社会活動に関する研究では、この両者の関係での連続性を確保し、フェルト・ニーズが未充足な高齢者がいかに社会活動参加へと移行できるかが重要なテーマとなっており、その意味では、本申請論文での研究の意義は大きい。

 本論文は5章構成であり、第1章では、フェルト・ニーズおよび高齢者の社会活動についての文献レビューを行い、高齢者の社会活動に対するフェルト・ニーズの充足状況に関連する要因を実証研究する必要性を提示している。第2章では、高齢者の社会活動に対するフェルト・ニーズの充足状況とIADL(手段的日常生活動作能力)の関係を明確化している。第3章では、高齢者の社会活動に対するフェルト・ニーズの充足状況と身体的状況、心理的状況、経験や技術の状況、社会環境的状況を示す各変数との関連性を明らかにしている。第4章では、高齢者の社会活動に対するフェルト・ニーズの充足状況と生活満足度との関連性を明らかにしている。以上の調査結果をもとに、第5章でフェルト・ニーズを充足できる高齢社会のあり方について提言を行っている。

 日本では健康高齢者に対する施策や支援はまだ不十分であり、かつ高齢期のあり方は個々の高齢者に全て委ねられている現状にあって、本調査から導き出された提言は有意義であるといえる。

 現在、要支援やそのリスクのある高齢者に対する介護予防の必要性が強調され始めているが、介護予防の本質は「閉じこもり」と呼ばれる廃用症候群高齢者を地域社会に参加させていくことであるとされている。廃用症候群高齢者は、社会に出て行くことの動機付けがない者と動機付けはあるが出ていかない者に分けられる。前者については、動機付けを高める支援方法についての研究が求められており、こうした研究は緒についたばかりである。一方後者は動機付けを強化するための条件整備についての研究が必要であり、これについてもほとんど研究成果がなく、本研究で得られた知見が大いに役立つことになると期待している。

 以上のことから、本審査委員会は本学位申諸論文が博士(学術)の学位に値するものと認めた。


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